研究内容Research

生体情報に基づく心身の状態評価

リアルワールド生体情報に基づき、心身の状態や疾患リスク、未病状態を客観的に評価する研究を行っています。例えば、身体活動の活動―休息の持続時間にみられる行動統計則や、病態遷移期に生じる臨界減速現象など、生体システムの状態と変化を記述する動的指標をデジタルバイオマーカーとして活用し、精神疾患などの客観的把握や早期検知手法の開発を推進しています。また Ecological Affective Computing の概念のもと、日常生活下の生体情報を用いて感情状態を推定する技術の開発も進めています。さらに、疾患モデル動物との比較研究を通して、普遍的デジタルバイオマーカーの開発やその生物学的基盤の解明にも取り組んでいます。

Just-in-Time Adaptive Intervention (JITAI) による行動変容

日常生活で取得される生体情報をリアルタイムに解析し、個々の状態に合わせて適切なタイミングで適切な介入を行う JITAI の研究開発を進めています。独自に構築したクラウドIoTシステムを用いて、気分、身体活動、心拍、睡眠などのデータを取得し、機械学習等で状態を推定することで、睡眠の改善や勤労者のプレゼンティズムの改善などに資する介入指導・コーチング手法の開発を行っています。

デュアルタスクによる認知機能の状態の推定・低下予測

デュアルタスクとは、2つの課題を同時に行うことで脳の情報処理能力や注意配分を評価する実験手法です。私たちは、足踏みをしながら計算課題を行うデュアルタスクシステムを開発し、課題中の運動・認知パフォーマンスを深層学習などで解析することで、現在の認知機能状態を推定し、さらに将来の認知機能低下を予測する手法を開発しました。また、課題パフォーマンス、動作、脳波、表情などを含む世界初の認知症関連マルチモーダルデータベースを構築しており、認知機能推定の高精度化とともに、医療機器プログラムへの応用を目指しています。

2次元X線画像からの3次元CT再構築手法の開発

2次元X線画像からの 3D CT (Computed Tomography) の再構築は、医用画像解析における重要課題の一つです。しかし、既存手法では、臓器等の被写体の姿勢変化に対する再構築精度が低く、臨床場面での実用性に課題が残ります。その課題を解決すべく、私たちは、姿勢回転を考慮した2次元X線画像からの 3D CT 画像を再構築する新たな機械学習手法を開発しています。